本研究の課題は、ドイツ、イギリス及びフランスにおける外国人居住者にたいする政策や現状をおもに文献的に検討しながら、これと対比しつつ、中心的にはわが国における在日韓国・朝鮮人をはじめとした外国人居住者と日本人との新しい社会関係の創出過程をコミュニティ政策、外国人市民施策とかかわらせて考察するところにある。本年度は、(1)国家の、とりわけ住宅政策を含む導入政策を追いながら、(2)それぞれの社会への労働と地域的な定着過程を生活史的聴き取り及び既存資料をもとに再構成しつつ、(3)現段階の彼らの文化、親族・近隣・社会関係が、地域のなかにどのように定着し、また日本の住民たちにいかなる影響を及ぼしているのかを明らかにするための基礎的資料収集と川崎市を対象に調査を実施した。調査の概要は以下の通りである。 (1)わが国の在日韓国・朝鮮人の地域的分布を統計的に整理する。 (2)地域的定着過程を、神奈川県川崎市を事例に調査する。 (1)それぞれの県の市町村ごとの地域的分布に関して統計的資料を整理する。 (2)態学的な地域類型化をおこない、外国人居住の地域的分布の特徴を析出する。 (3)それぞれ自治会を単位として対象者を抽出し、生活史調査により地域的定着過程を明らかにする。 (3)世帯調査-家族構成、職業、学歴、親族関係、地域的移動など。 (4)生活・意識調査-民族的生活文化、近隣関係、民族的アイデンティティーなど。 (5)生活史的調査-出生から現在までの居住歴、学歴、職業歴などの外面的キャリアと内面的キャリアの両面から生活史。
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