本年度(平成9年度)は、主に、備前市の政治経済構造と備前市民の政治意識に焦点を充てた調査を行った。備前市内の企業、団体、行政、住民組織、市民を対象とした聴き取り調査と、備前市民2、000名を対象とした郵送調査により得られた成果は以下の通りである。 備前市は基幹産業の耐火レンガが構造不況業種に指定される事態の中、近年、衰退の様相を示している。現在、松下電気産業、NTN、大鵬薬品などの誘致企業と地場産業(備前焼)により、重厚長大型産業の構造不況をカバーしているはいるものの、人工の減少は避けされず、備前市は観光都市化(「ニューマインドポート基本構想」)に都市再生の活路を求めている。しかし、その構想もバブルの崩壊の中で破錠し、いま、備前市は新たな政策の展開を求められている。 もとより備前市の再生を求める都市政策はひとり行政の課題にとどまらない。企業、団体、市民における結集、新たな地域的連携の実現が期待されている。衰退傾向にある備前市(地方都市)を再生させるため、企業、団体、行政、住民に間にいかなる形の連携が可能か。本年度におけるわれわれの研究はそのことに一定の回答を用意することができるところに到達した。
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