今日でもなお、同和地区の子どもたちの学力は一般地区の子どもたちの学力よりも相対的に低い傾向を示している。また、高校中退率が高く、大学進学率が低いという現状もある。これらの教育問題の一つの取り組みとして最近では家庭の教育力を高めることが大きな課題として、クローズアップされている。しかし、その具体的な取り組みに必要な基礎的研究やデータはきわめて不十分である。本研究は、個々の家庭での子育ての現状や保護者の子育て観を捉えるとともに、低学力の克服のみならず、豊かな人づくりと部落解放に向けて、子どもたちの「生活自立力」を高めるうえでの子育てや親子関係の課題を明らかにすることを目的とするものである。 そこで、本年、大阪市内・府下において、同和地区と一般地区を対象地とし、小学5年生から中学3年生までの子どもとその両親に対して、「親子関係に関するアンケート調査」を実施した。回収数は同和地区768セット、一般地区781セットであった。H9年3月の現時点で、単純集計まで結果を出したが、来年度に向けて、クロス集計を中心とした分析を進める予定である。 また、本年度は、インタヴュー調査を十分に行なえなかったが、来年度は、インタヴュー調査に力を注ぎたい。
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