日本の社会は、明治以降、急激な人口増加によって、地域社会を発展させてきた。その結果、人々の意識や制度、社会システムの中に「人口増加=地域発展」という強固なパラダイムができてしまっていた。 それ故、実際の人口流失による過疎問題だけでなく「システム過疎」とも呼ばれる現象が発生しており、新たな、地域問題となりつつある。 また日本の農学、農政も人口増加時代に形成されたため、「人口増加パラダイム」を前提としているため、増産主義や農地開発、品種改良など<モノ>と<カネ>を軸とする生産力農業論となっている。しかし担い手や消費者という<ヒト>の問題には、ほとんど関心を向けなかった。1960年頃まで農家人口は増え続けていたため、現在の後継者不足に対応すべき分析枠組を持っていなかった。また農産物を購入するという意味での消費者も想定していなかった。それ故、既存の農学・農政は、担い手と消費者という<ヒト>の問題に対するアプローチや分析枠組がない構造的欠陥を指摘した。 それ故、個人属性をベースとした「農業者類型」や消費者にも対応できる生活農業論を提案した。最後に、農山村の担い手問題の中心になる「花嫁不足問題」と後継者対策に対応する「じじばばエデュケーション」の提案を行なっている。花嫁不足問題では得男女間では地域属性によって未婚率の差異がある事が判明した。女性は大都市→地方都市→近郊農村→中山間地→山間地の順で未婚率が低下する。一方弾性は、大都市→地方都市→近郊農村→と未婚率は低下するが中山間地、山間地となると再び未婚率は高くなる。そしてこれらの対策は結婚等に補助金をつける事ではなく、三〇才台の女性の住みよい状況をつくる事である事が判明した。
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