研究概要 |
本年度は,まず退院計画プログラムに積極的に取り組んでいる東京都近郊の病院のSW,および研究者6人らと研究会を5回開催し,各病院・地域での取り組み,イギリスにおける退院計画活動その他の検討を行った.第2に,各地の医療機関および医療機関との連携を志向した活動を展開している地域機関の事例収集を行い,東京都周辺の関係機関数ヵ所,高知,石川,愛知の関係機関への訪問調査を実施した.第3にそうした先進活動機関の関係者および研究者を交えてのフォーカスグループ討議を実施した. イギリスでは,1990年の「国民保健サービスおよびコミュニティケア法」によってケアマネジメントの一環として病院退院時の退院計画の活動が病院に義務づけられ,93年より実施されるに至っている.今年度は,保健省の作成したハンドブックやある地域でのケアマネジメント関係のツール等を入手して検討を行った. 日本では,一部の病院では退院計画の活動は積極化してきているが,問題点も山積している.第1にケースの早期把握のための病棟の医師や看護婦らとの認識の共有化やリファーシステムづくりの面で様々な問題があり,そのモデルづくりが志向される必要がある.第2には退院後のケアプラン策定にあたって連携・協同すべき地域でのケアマネジメント担当機関が,現在のところ市町村の福祉担当課・保健センター,福祉事務所・保健所,在宅介護支援センター等に分散している上,それぞれの役割分担等でも地域と機関の差が大きく,地域ケアシステムの将来像をふまえた上で,情報交換や役割分担のあり方を明確化する必要があることが明らかとなった.
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