1.わが国での血液製剤によるHIV感染被害者および遺族の関係者・団体等の協力を得て面接調査と参与観察を実施して、社会生活障害や生活問題の実態と、その問題の個人的ないし組織的・社会的な問題解決策としてセルフ・サポート・グループとソーシャル・サポート・システムの形成のプロセスとメカニズムを明らかにした。 2.輸入血液製剤によるHIV感染者およびAIDS患者の生活被害構造を保健医療社会学的に分析し、かつ保健医療福祉的援助の課題としてフォーマルおよびインフォーマルなソーシャル・ネットワーク・システムの構築およびその方法についての討論に参与観察的に関わって、被害者・遺族の被害救済・恒久対策のあり方を提言した。 3.セルフ・ヘルプ・システムの立ち上げの根幹に関わる当事者および支援者の学習・研修の企画と実施のプログラム開発やノウハウの蓄積を行うことができ、当事者を中心にしたソーシャル・サポート・システムのあり方を検討する資料を得ることができた。 4.遺族におけるセルフ・ヘルプ組織の形成過程の参与観察により、遺族の抱える複雑生と生存被害者との問題・課題の共有の困難性を認識することができ、感染被害者のソーシャル・サポート・システムのあり方を検討する資料がえられた。 5.未提訴被害者の実態調査により、HIV/AIDS関する社会的差別と偏見が未だ社会的にクリアされていない今日の状況にあってセルフ・ヘルプ・グループを含むソーシャル・サポート・システムの構築の困難性が確認された。 6.薬害エイズ事件の反省のもとに市民運動組織として発足した「薬害オンブズパースン会議」に参与観察法による参加をおこない、被害の再発防止と薬害根絶の市民運動をとうしてのソーシャル・サポート・システムのあり方を検討する資料がえられた。
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