研究課題/領域番号 |
08451055
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
時井 聡 淑徳大学, 社会学部・社会学科, 助教授 (60197861)
|
研究分担者 |
上田 健作 宮崎産業経営大学, 経営学部・経営学科, 専任講師 (90248625)
|
キーワード | 保健医療システム / NPO(非営利組織) / 専門職(Profession) / ネットワーキング / 市民参加 / 社会的合意形成 / 公共財配分の意思決定 / ボランティア |
研究概要 |
平成8年度は、既存の研究成果およびデータを参考にアメリカ非営利セクターの全体像と非営利組織の機能に関する仮説の構築を行いつつ、その仮説の検証を行うべく保健医療関連の活動をカリフォルニア州において行っている1600の団体に対して郵送法による質問紙調査を平成9年1月から3月にかけて実施し、現在その集計および分析を行っている。 集計および分析の途中結果から得られる知見として、以下の二点があげられる。 アメリカの非営利セクターは、サービス提供非営利組織の周囲にそれらを資金、情報などの面から支援する多様な非営利組織や財団より構成され、一つの「重層的システム」をなしている。従って、アメリカの非営利セクターはその意味で独立した一つのセクターをなしている。しかし、年間収入規模や資産額といった経済的側面よりすると、少数だが経済的に大規模な組織と多数の小規模で零細な草の根的非営利企業に二分される。(非営利セクターの二重性)この二重性は、単に経済的規模の二重性にとどまらず、非営利組織の機能的側面にも反映していると思われる。すなわち、大規模な組織は既存システムの補完的機能を果たし、草の根の組織は既存のシステムに対する監視や改革の機能を持ち、さらにはシステムの自立的運営を目指す傾向が見て取れる。またこのような二重性は、っこれらの組織における専門家の果たす役割にも大きな影響を及ぼしているのであり、既存システムを補完する大規模組織では既存の分業の一環として専門家が機能し、草の根的組織では活動の全体をコーディネートする機能を果たしている傾向が見られる。この点は、専門性が決定的な役割を果たす保健医療領域の非営利活動においてはもっとも顕著に現れていると考えられる。今後は、収集された文献・資料・データのよりいっそうの分析・検討を行い報告書作成に当たる。
|