研究概要 |
平成8年度は,生涯学習関連の事業領域において、事業の企画立案から実施に至る一連の過程で、地方行政が地方公社や民間の事業にどのように関わっているのかを自治体の実態調査を通じて分析し、生涯学習推進の基礎システム関連事業についての行政の関与形態と責任範囲の理論的枠組みを提示することを目的とした。そのために、都道府県内(教委-首長部局)、都道府県-市町村の機構的機能分担・連携に加え、公と民間の機能分担・連携に着目し、公行政がどこまでの範囲をどのように関わっているかを実態調査を通して明らかにした。具体的には、地方自治体・地方公社・民間事業の3者関係が比較的明確に見て取れる都市を調査対象とし,以下の項目について研究を遂行した。 1 実態調査のための資料収集と地方自治体の訪問調査の実施 (1)北海道江別市教育委員会を訪問し,行政セクター,民間公益セクター,民間営利セクターの関係構造について情報交換を行い,江別市セラミックアートセンター,江別市情報図書館,江別市民民体育館,(財)江別市スポーツ振興財団,(財)北海道生涯学習協会などの施設の生涯学習事業の展開と実態について訪問調査を行った。 (2)愛媛県生涯学習課と社会教育課を訪問し,同県の生涯学習センター,総合科学博物館,歴史文化博物館などの生涯学習施設の事業展開について実態調査を行った。 (3)沖縄県教育庁生涯学習振興課及び那覇市教育委員会を訪問し,同県の市町村・地方公社・民間の事業連携・協働について,生涯学習セクションとの意見交換を行い,生涯学習事業を遂行しようとしている自治体では行政と民間の事業連携・協力において何か難しい課題を抱えているかどうかについて聞き取り調査を行った。 2 学会発表 江別市に関する実態調査の中間報告として,「地域自治体における生涯学習推進の構造-北海道江別市事例-」(発表者代表:研究協力者の東北大学教育学部大学院生背戸博史)という題目で平成9年3月2日に東北大学教育学部で開催された東北教育学会において研究発表を行った。
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