研究課題
基盤研究(B)
静岡県内の公立小・中学校における外国人子女教育の在り方、および主として国際理解教育の観点から外国人子女が在籍することによる日本人子女の教育への影響について、その実態を把握し、外国人子女および日本人子女の今後の教育に役立つ資料を得ることを目的として、アンケート調査を実施した。調査は外国人子女が在籍する県内のすべての公立小学校(平成8年度)、公立中学校(平成9年度)を対象として行い、学校調査票、学級担任調査票、外国人保護者調査票、外国人子女調査票、日本人子女調査票の5種類の調査票により、学校としての対応、外国人子女に対する担任教師の意見、外国人子女を持つ保護者の要望や意見、外国人子女自身の要望や意見、日本人子女の外国人子女観や影響などについて調査した。調査結果から、主として次の点が明らかになった。外国人子女の受け入れ体制・指導システムについては、学校全体で体制を整えるか、個々の教員に任せるかは、外国人子女の人数や学校の置かれた条件によって多様であり、柔軟に対処するために学校側の判断と対応が重要となる。日本語指導の教材については、市販の教材を使用している場合が最も多いが、文部省や教育委員会が開発したものなど、複数使用している場合も多い。外国人子女の指導上の問題として、保護者の経済上からの問題、異文化や生活指導の差異からの問題、保護者・子女の日本語能力の不足からの問題などがある。学校への適応状況については、外国人子女は学校で友達とおおむねうまくやっているが、2〜4割の外国人子女は十分に適応できていないというのが現状である。日本人子女は、外国人子女の存在を特に意識して関わっている様子はみられないが、国際理解教育の観点からは、外国人子女の存在が十分活用されていないという状況にある。
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