研究課題
基盤研究(B)
〔研究目的、目標、活動〕伊勢神宮では、平成5年10月に第61回目の「式年遷宮」が行われた。この「式年遷宮」は、伊勢神宮の祭儀・信仰・歴史・制度などの中核に位置してきた。持続天皇四年(690)に創まり現在まで二十年に一度ずつ、伝統を基本としながら、時代による変化も取りこみつつ継承されてきており、神道祭祀の典型とされる。それは日本文化において、信仰のあり方、美意識、建築などの方面においても深い関わりをもっている。本研究は、このような意義をもつ「式年遷宮」について、時代毎の総体像と、その変遷過程(持続と変化)を明らかにすることを目的とする。また、それが日本文化のなかで占める意義を確かめることを目標とする。具体的な研究活動は、思想、祭儀、歴史、宗教・民俗、文字・芸能の5部門に分かち、研究分担者の研究課題を設定し、研究会を行い、推進してきた。〔研究成果〕1) 研究成果報告書論文は、古代から現代に及ぶ内容の8編がまとまった。資料としては、1.第61回式年遷宮の写真、行事とその歴史的変遷を詳しく解説した、既発表の論説を合綴した。これらは、本研究の前提として蓄積されていた調査研究の成果である。2.『両宮遷宮旧式祭典図』の再編。本書は嘉永2年(1849)度、両宮の第54回式年遷宮の詳細な彩色画である。明治以前の式年遷宮の様子を記した図像として、きわめて貴重な資料である。平成5年に公刊された書を用いて、図と解題を上下に対照して再編した。2) パーソナル・コンピューターによる、データベースの構築(第61回式年遷宮の行事・儀式の画像、研究文献など)を進めた。まだ不十分であるが、早い時期に、これらのデータベースをインターネット、ホームページ(皇学館大学神道研究所)を通じて、共同利用できるよう取り進めている。
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