近現代アジアにおける地域形成と言語文化に関する比較史的研究

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08451081
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 並木 頼寿 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (80155986)
• 研究分担者: 山内 昌之 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (80158071) ; 古田 元夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50114632) ; 若林 正丈 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60114716) ; 三谷 博 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50114666) ; 村田 雄二郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (70190923)
• キーワード: 近代史 / 現代史 / アジア地域 / 地域形成 / 言語文化 / 国民言語 / 国家形成 / 比較史

研究概要

研究課題の2年度であり、初年度に引き続いて研究条件の整備と情報の収集整理に力をいれた。東アジアから中東にいたる広大なアジア地域には、多様な地域文化と地域言語が存在し、それらの言語で表現された情報が存在する。これらの情報を収集したデータベース化を進め、可能な限り多言語同時使用のもとて運用できるようにつとめた。この作業は残された研究期間にさらに充実をはかる。なお、情報機器の言語環境にはなお制約があるので、データを画像として処理することも試みている。
また、研究対象地域の研究機関に所属する研究者から直接情報を入手することは、本研究の大きな目標であり、本年度も主に中国などの近代史研究者、国際関係研究者を招いて、研究会、講演金などを開催し、専門知識の提供を受けた。研究課題に密接に関連した研究会を開催し、研究分担者のあいだで情報交換と調整を行い、その上で各研究分担者および研究代表者の役割分担にしたがって研究を進めた。その成果は、研究発表の欄に記した通りであるが、そこでは近代アジア諸地域における地域統合や国家形成の過程に言語文化の果たした役割について、多様な事例が検討され、言語の社会性・歴史性についての問題提起がなされている。
これらの成果の上にたって、研究課題最終年の平成10年度には、研究成果をとりまとめた報告書を作成する。

研究成果

• [文献書誌] 三谷 博: "維新日本の「世界」規定" 『日本イメージの交錯-アジア・太平洋のトポス』. 133-152 (1997)
• [文献書誌] 三谷 博: "帝国大学生の国内移動" 『地域史の可能性』. 154-177 (1997)
• [文献書誌] 村田 雄二郎: "もう一つの簡体学-漢字とナショナリズム" 『(ライブラリ相関社会科学)言語・国家そして権力. 4. 192-203 (1997)
• [文献書誌] 村田 雄二郎: "中華ナショナリズムの表象-顧頡剛における<民族>と<文化>" 『江戸の思想(特集:歴史の表象)』. 8. (1998)
• [文献書誌] 若林 正丈: "台湾における政治体制変動とエスノナショナリズム" 『民族で読む中国』. 367-390 (1998)
• [文献書誌] 古田 元夫: "ジュート工場のあった村の1945年飢饉-ヴェトナム北部フンイェン省フオントン村" 『東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻紀要』. 1. 7-19 (1997)
• [文献書誌] 並木頼寿・山本英史・三好章: "歴史から見る現代中国" 『中国21』. 1. 75-96 (1997)
• [文献書誌] 並木 頼寿: "中国教科書の世界・日本像" 『日本イメージの交錯-アジア太平洋のトポス』. 45-69 (1997)
• [文献書誌] 古田 元夫・山内 昌之編: "『日本イメージの交錯-アジア太平洋のトポス』" 東京大学出版会, (1997)
• [文献書誌] 並木 頼寿・井上 裕正: "『世界の歴史19 中華帝国の危機』" 中央公論社, 406 (1997)
• [文献書誌] 三谷 博: "『明治維新とナショナリズム』" 山川出版社, 386 (1997)
• [文献書誌] 三谷博・阿部武司編: "『地域史の可能性』" 山川出版社, 322 (1997)
• [文献書誌] 山内 昌之: "『「反」読書法』" 講談社, (1997)