研究課題/領域番号 |
08451098
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
富士川 義之 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20083264)
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研究分担者 |
HUGHES G.E.M 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, その他 (10281700)
大橋 洋一 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (20126014)
高橋 和久 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (10108102)
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キーワード | ロマン主義 / フランス革命 |
研究概要 |
ロマン主義と文学史上呼ばれるものが古典主義に続いて現れたことは間違いないが、19世紀のイギリスで発行された文芸・総合誌を調べると、普通文学史でロマン主義の代表と位置づけられる詩の領域においてすら、「ロマン主義」という名称がそれほど頻繁に使われていないことに驚かされる。当時の有力な雑誌、ともに興味深いことにエディンバラで発行された『エディンバラ評論』や『ブラックウッズ・マガジン』は、それぞれホイッグ系、トーリー系というイデオロギーに違いがあるとされるが、しかし、例えば『エディンバラ評論』の主幹フランシス・ジェフリーの主張の行間には革命に対する恐怖なり忌避が窺えるように思われる。つまりロマン主義精神なるものは一枚岩的なものではなく、さまざまな相反するイデオロギーの集積といった側面があり、それは、これも当時の雑誌を調査することで浮かび上がってくるのだが、いわゆる「ロマン派詩人」といったラベルが、イデオロギー特性を表示するものとしては、少なくとも19世紀前半には、用いられていないことからも明らかである。こうした状況がヴィクトリア朝にはいってどう変化するのか、しないのか、今後は19世紀中葉の雑誌やウィリアム・ハズリット、スコットランド人であるトマス・カ-ライルといった思想家の社会批評テクストを調査して、その人間観や社会観がいかに先行する多様なロマン主義精神と関係しているかが探らねばならない。それによってディケンズやブロンテ姉妹に見られる異質なロマン主義精神を跡付けることが可能になるであろう。
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