研究課題/領域番号 |
08451100
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田村 毅 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90011379)
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研究分担者 |
福田 耕介 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助手 (30292741)
塚本 昌則 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (90242081)
中地 義和 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50188942)
月村 辰雄 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50143342)
塩川 徹也 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (00109050)
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キーワード | フランス文学 / 私 / ディスクール / ロマン主義 / レアリスム / 幻想文学 / シュルレアリスム |
研究概要 |
文学行為に内在する不変の常数として、再問題化されることなく受容され続けている「私」は、作者の自我とどのようなつながりを持ち、彼の内密の自意識をどのように反映するのか。ロマン主義的な自我の覚醒という現象を境界とし、その前後において作者の自我と語り手の「私」との間の親疎の度合いの変化を見るというこの問題に対する従来のアプローチが、近代以前の「私」のディスクール、ポストモダンの文学によってもたらされた変化を射程に取り込めないことは明らかである。13、14世紀の数化物語、及びその周辺のジャンルのテクストにおける「私」、中世以降のラテン語作品をも含めた告白、自伝類のテクストにおける「私」、古典主義時代のテクストにおける「私」、ロマン派のテクスト(特に回想録)における「私」、シュルレアリスム、構造主義批評のテクストにおける「私」を先ず個々に問い直し、次いで比較検討することで、テクスト上に表出する「私」を従来の直線的な解釈から解放し、より多元的な方向性の可能性を模索している。近代的な「私」の起源が13世紀後半の教化物語の一人称単数形の語り手にあり、さらにアウグスティヌスの『告白』にまで溯れること、さらにそのロマン派的「私」の変容が、自我の覚醒、解放、無意識の探求という形で、レアリスム、幻想文学、シュルレアリスムと辿れるということが研究参加者一同のこれまでの認識である。
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