研究課題/領域番号 |
08451101
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐藤 俊一 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (10091456)
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研究分担者 |
坂間 博 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (80261345)
室井 禎之 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (60182143)
清水 誠 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (40162713)
橋本 聡 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (40198677)
江口 豊 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (70203627)
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キーワード | カテゴリー化 / プロトクイプ / 他動性 / 言語の標準化 / フリジア語 / 連想ネットワーク / 韻律 / モダリティ |
研究概要 |
動物のコミュニケーションに用いられる様々な「ことば」(信号)は通常連続的であり、人間のことばは離散的であるとされている。つまり、我々が使用している言語は分節的であり、連続的な外部世界を任意に切り取っている。この意味で、人間の言語は基本的に離散的である。しかし、分節という概念には二つの面がある。一つは区別することであり、離散性に関係し、一つはまとめるということであり、連続性に関係する。さらに、この連続性という概念はカテゴリー化という人間の基本的な認知活動に関与している。つまり、我々が外部世界やそこに起こる出来事を認識する場合、我々は知覚し、経験した事物を、一つ一つ個々別々に認知しているわけではなく、何らかの一般性を抽出したり、類似性に基づくなどして、グループにまとめるという認知活動を行なっている。このような認識の活動がカテゴリー化であり、人間の認知活動における概念形成や言語による意味づけと不可分の関係にある。カテゴリー化は、生成文法がその説明の対象としてきた言語能力に含まれるものというよりは、認知一般に属するものであり、どんな理論でもその専門用語の定義から言語現象の分析にいたるまでカテゴリー化そのものから逃れることはできない。また、同一のカテゴリーに属する成員は従来考えられていたようにすべてが対等であるわけではない。そのカテゴリーを代表すると思われるもの(プロトタイプ)から、その所属が疑われるものまで、帰属度に差が見られ、内部構造は不均一であり、カテゴリーとカテゴリーの間の境界も必ずしも明確なわけではない。いわばプロトタイプ的連続性が見られるのである。このような基本認識を基に、接続詞indem, dadurchと多動詞との相性の問題、ドイツ語文章語成立過程における地域的言語規範の非標準化に関する問題、ドイツ語、オランダ語、英語との比較による西フリージア語文法構造の問題、ドイツ語の移動動詞の用法の分析による意味における連続性概念の理論的位置づけの問題、日本語、ドイツ語、英語共通の韻律特徴の収拾と離散的規則運用における初期値という概念の導入による音声実体の持つ連続性の表現の可能性の問題、推測・推量のModalwortの表わす話者の確信度の問題を研究してきた。
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