研究課題/領域番号 |
08451109
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中務 哲郎 京都大学, 文学研究科, 教授 (50093282)
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研究分担者 |
久保田 忠利 東海大学, 文学部, 教授 (50132600)
南川 高志 京都大学, 文学研究科, 教授 (40174099)
高橋 宏幸 京都大学, 文学研究科, 助教授 (30188049)
内山 勝利 京都大学, 文学研究科, 教授 (80098102)
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キーワード | ギリシア神話 / ソクラテス以前哲学者断片集 / エウリピデス / ウェルギリウス / セネカ悲劇 |
研究概要 |
ギリシア・ローマの作家がいかなる危機の意識をもって各時代と対したが、彼らのいだく危機の思想がどのように作品に反映したかを考察するために、初年度、中務はまずギリシア神話に現れた世界観・死生感を検討し、「ギリシア神話に見る死と生」の講演を行った(京都大学春秋講義)。中務はまた、古代歴史家の時代認識の考察を行う準備として、口承から文字使用に移行する時代の精神状況の検討に取りかかった。内山は、神話的思考から大きく飛躍をとげた初期ギリシア哲学者たちの自然と人間に関する思索を検討する基礎作業として、『ソクラテス以前哲学者断片集』邦訳二分冊(岩波書店)を上梓した。 前5世紀末のペロポネソス戦争以降、ギリシアの政治的な力は衰える一方で、代わって地中海域に勢力を伸ばしたローマは、数次にわたる政治体制の変遷と長い内乱を経て、アウグストゥスの下で帝国支配の姿勢を整えた。しかしながら、アウグストゥスの創始した帝政も、ローマ帝国の永続性の礎となると同時に、さまざまな矛盾の芽をも内包するものであったことを、南川は政治思想史的考察から明らかにした。文学的には、アウグストゥスによる帝政の創始をウュルギリウスとカヌスという二叙事詩人がいかに違った観点から歌ったかを高橋が検討した。高橋はまた、ペロポネソス戦争下の劇作家エウリピデスとアリストパネスの時代認識を考察する久保田と連絡をとりながら、セネカが悲劇に託した危機の思想がエウリピデスのそれよりいかに深化しているかを考察した。
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