研究分担者 |
木村 健治 大阪大学, 言語文化部, 教授 (80102797)
深沢 一幸 大阪大学, 言語文化部, 教授 (00115924)
中埜 芳之 大阪大学, 言語文化部, 教授 (80029727)
高岡 幸一 大阪大学, 言語文化部, 教授 (40065470)
藤本 和貴夫 大阪大学, 言語文化部, 教授 (70029734)
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研究概要 |
国際環境と言語文化の相関という観点から,歴史的考察を含めて,異文化交流,とりわけ日本の文化と異文化との交流について明らかにしようとしているが,本年度は,前年度の成果を踏まえ,メンバー個別の研究とともに,公開の研究討論会を開くなどして,互いの意見を交換しつつ,さらにその分析を押し進めた.前年度は,大きな視野から異聞交流の歴史的展開と現状について考察を行ったが,本年度は,それをもとに,より具体的な分析が,それぞれの研究分担者によって行われ,以下の成果を得た. 1)ローマ世界における「愛」の概念が検討され,それがキリスト教成立以後とどのように異なっているか,さらにキリスト教世界の「愛」が明治以後の近代日本にいかに導入されたか,また古代インドのセクシュアリティーが,中国をへて日本に導入された際,いかなる変容を蒙ったかについて,それぞれ詳細な報告がなされた. 2)江戸から明治にかけての外国語(英・独・仏・露)教育の変遷についての研究が報告され,活発な意見の交換がなされた. 3)19世紀から今世紀初めにかけて,中欧の諸都市を中心として花開いたユダヤ人によるコスモポリタンな性格を持つ文化に証明が当てられ,また19世紀のパリに出現し,現代社会を特徴づける「群衆」という現象についての分析がなされた. 4)ソ連邦崩壊後の,ロシア極東の沿海地域の現状分析と日本との交流についてのパースペクティブについて報告がなされ,旧西欧植民地におけるポスト・コロニアル文化についても,新たな問題提起が行われた. 上記の研究成果の大部分は,『言語文化概論』(藤本・木村編,大阪大学出版会,1997)に反映している.
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