研究課題/領域番号 |
08452004
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
林田 清明 北海道大学, 法学部, 教授 (50145356)
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研究分担者 |
古城 誠 上智大学, 法文学部, 教授 (80013027)
長谷川 晃 北海道大学, 法学部, 教授 (90164813)
松村 良之 北海道大学, 法学部, 教授 (80091502)
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キーワード | 公正の心理学 / 分配の公正 / 分配の正義 / 資源基底的平等 / 相続制度 / 相続分 / 遺言 / 法の経済分析 |
研究概要 |
本年度は、平成8年度の研究において構築された分析モデルに基づいて、関係官庁や団体での聞き取り調査はじめ、それぞれの担当分野においてより具体的に検討を進めた。分析モデルとして、経済モデルや公正の心理分析モデルそれに公共選択理論に基づいた政策モデルなどを用いた。 代表者の林田は、このモデルに基づいて、とくに、どのような条件の下で相続による私的配分が望ましいか、また、遺言・信託、贈与そして慈善事業などへの寄付が適当かについて検討した。実体的な相続意識をも考慮に入れている。分担者の松村は、つぎの知見を得た。すなわち、相続は一方では財の世代を越えての承継であるとともに他方では偶然の根拠によって財が分配される過程である。この2要因の強さの割合を主たる独立変数、人々の持つ公正感を基本的な従属変数と考えて、公正の心理学の枠組み基づいて、人々の判断モデルを作るとともに、社会心理学的な実験のリサーチデザインを策定した。分担者の長谷川はつぎの研究を行った。分配の正義の観点からすれば、ある人が死亡した場合に残された財は、特定の個人にだけ帰属するわけではない。死亡した人の財の状態自体が、一定の社会的配分と個人による維持・付加のミックスでもあり、一定の社会的配分による部分は死亡によって社会的に再分配されるとも考えられるからである。この見方によると相続税は、特定個人が財を取得する際の賦課であるよりも、死亡した人の財からの社会的配分量の引き去りであり、その割合は社会的に肯定されるべき等しい基礎資源の割合であることが考えられる。分担者の古城は、相続制度をめぐる公法的規制ならびに世代間分配の公共的決定、それに相続税や節税対策が相続に及ぼす法的な影響を考察した。なお、研究会はじめとして、分担者間の意見交換を行った。
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