初年度各人の研究実績概要は、以下の通りである。 六鹿は、東欧革命の国内的起源を戦後東欧に植えつけられた1930年代ソ連体制の変容に求め、関連書物を通じて戦後東欧の体制変動について理解を深めるとともに、それについて各国間の比較検討を行った。また、インターネットや在京研究機関において、東欧各国の新憲法、選挙法、選挙結果、政治勢力関係の推移、政党性、議会、政府、大統領、これら諸権力機関の関係、経済実績、民営化などに関するデータを収集し、1989年東欧革命以後の東欧政治変動の流れを追った。 宮田は、アルジェリア、チュニジア、トルコなど地中海諸国の政治変動について、慶應義塾大学地域研究センターで資料収集を行うとともに、外務省、中東経済研究所などの関係者とも当該研究テーマについて意見の交換や聞き取り調査を行った。なかでも、地中海諸国の構造改革に伴うイスラム原理主義の台頭に力点を置き、同テーマに関する情報を、インターネットを通じてFBISなどから収集した。 小久保は、中・東欧諸国および地中海諸国のEU加盟問題の推移を追うために、慶應義塾大学のEU資料センターなどで基礎資料を収集すると同時に、インターネットによる最新情報の入手経路を確保し、当該研究テーマの基礎調査を行った。平成8年度は特にEUがそれら諸国の新規加盟に備えてどのように内部の機構改革を検討しているかに重点を置き、現在EUで進行中のマ-ストリヒト条約改正のための政府会議(IGC)の動向分析を中心に研究を進めた。
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