研究課題/領域番号 |
08452009
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
六鹿 茂夫 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (10248817)
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研究分担者 |
小久保 康之 静岡県立大学, 国際関係学部, 助教授 (60221959)
宮田 律 静岡県立大学, 国際関係学部, 助教授 (20200181)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 東欧体制変動 / NATO / 政治的民主化 / 市場経済化 / イスラム政治運動 / 地中海地域 / EU / アムステルダム条約 |
研究概要 |
東欧諸国の体制変動を解明するには、制度的局面、政治的民主化、市場経済化、NATO・EUへの参加などの国際的次元など多元的に検討する必要があることが明らかになった。また、短期的な体制変動は政治次元に限られ、経済的市場化の過程は、経済的諸困難の克服が基本となるため、政治的リーダーシップの意思のみでは不可能であり、時間がかかることも解明できた。そのような傾向は、特にル-マニアのケースで顕著であり、国内政治と国際政治のリンケージの中で、同国の体制変動は進んでいると指摘できる。 また、地中海圈イスラム諸国の政治変動に関しては、人口増加、失業、都市縁辺のスラム化、貧富の格差の増大などの社会・経済問題が深刻となり、多くの人々が「社会正義」や「平等」を唱えるイスラム原理主義のイデオロギーに吸収されるようになっている現状を明らかにした。更に、生活の改善を求めてEU諸国に移住を考える者も増加しており、EU側では域内の失業者の増大や、移民の排斥を唱える右翼勢力の台頭もあり、地中海圈のイスラム諸国の社会・経済的安定に向けての支援を前向きに検討せざるを得ない。 更に、EU側は、東欧諸国および地中海諸国のEU加盟に備えるために、1996年3月から政府間会議を開催し、1997年10月までにアムステルダム条約の調印にこぎ着けたとは言え、次期拡大に対応できるような内部機構の改革は先送りとなってしまい、EUの「深化と拡大」の調和的発展の難しさが改めて浮き彫りになった。また、その過程で、トルコとの関係が極めて微妙な状況になってしまったことも新たな懸念材料と言えよう。
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