研究課題/領域番号 |
08452012
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
板木 雅彦 立命館大学, 国際関係学部, 助教授 (10168297)
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研究分担者 |
石黒 馨 立命館大学, 経済学部, 助教授 (20184509)
小林 誠 立命館大学, 国際関係学部, 助教授 (60257813)
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キーワード | 覇権協調論 / パックス・アメリカ-ナ / 国際公共財 |
研究概要 |
本年度は、覇権協調論によってパックス・アメリカ-ナの分析モデルを構成し、その形成・確立・動揺期における国際システムの安定と各国の責任分担について検討した。われわれのパックス・アメリカ-ナの分析モデルは、オルソンとゼックハウザ-が軍事同盟の分析のために開発した同盟の経済理論を覇権協調論によって拡張したものである。彼らは、同盟国の防衛を純粋国際公共財と想定し、同盟の経済理論を定式化した。彼らの研究は、軍事同盟の研究だけではなく、国際公共財を共有する国際システムの研究に適用可能な方法論=責任分担理論を開発したという意味でも重要である。 このようなパックス・アメリカ-ナの分析モデルによってつぎのような点を明らかにした。パックス・アメリカ-ナの形成期には、覇権国アメリカの相対的・絶対的な権力の優位性のもとで国際システム安定の費用は、覇権国アメリカによって主に負担され、同盟国の経済復興や覇権的国際レジームの形成に向けられた。パックス・アメリカ-ナの確立期には、覇権的国際制御システムが有効に機能し、覇権のもとでの国際協調(=パレート効率的均衡)によって国際システム安定の費用は、覇権国アメリカと同盟国によって共同負担された。しかし、覇権国アメリカの経済的優位性が相対的に低下し、覇権的国際レジームが有効に機能しなくなると、パレート効率的な国際均衡はナッシュ均衡やスタッケルバーグ均衡に移行し、十分な国際公共財が供給されず、国際システムは不安定化する。このようなパックス・アメリカ-ナの動揺期やその再編期には、国際システム安定のために同盟国に対する責任分担の要求が強まる。
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