研究概要 |
本研究は、経済のグローバル化が進行するなかで、世界の都市システムが再編されつつあることに着目する。都市集積のもたらす便益と費用に焦点を絞り、都市集積が果たす経済的役割を明かにすることによって、東京一極集中の功罪についての結論を得るのが最終日標である。かなり大きいテーマなので3年間の研究となるが、初年度においては、以下のような基礎的な研究に重点を置くことにした。 研究代表者(田渕)が平成8年度の11月に転任したために、研究分担者が(藤田、黒田)から、(黒田)だけになった。そのため、研究の方法が幾分変化することになった。まず、都市経済学と地域経済学の分野において、東京一極集中の功罪に関する理論的研究を行った。これは、藤田、黒田、田渕で三人で行うことができた。議論したのは、主に京都大学経済研究所でほぼ毎週金曜日に行われているUrban Economics Workshopにおいてである。 次に、都市単位および都市圏単位のデータベースを作成した。揃ったデータについて順次編集作業を行い、時系列と横断面についてさまざまな記述統計を作成し、経済学的な分析を行った。結果は、田渕がDiscussion Paper No.97-F-1,Faculty of Economics,University of Tokyoに報告した。また、東京における集積の経済については、「都市と地域の経済学」において多角的に論じ、地価に関するミクロ経済学的研究についてはLand Economics誌においてまとめた。一方、黒田はフィナンシャル・レビュー誌において、都市の社会資本に関する諸問題を分析した。いずれの論文も、二人もしくは三人で議論することによって完成したものである。
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