初年度に続き第2年度でも、都市経済学と地域経済学の分野において、東京一極集中の功罪に関する理論的研究を行った。議論した場は、京都大学経済研究所のUrban Economics Workshopと名古屋大学情報文科学部のUrban Economics Workshop、東北大学情報科学研究科の地域科学ワークショップにおいてである。 また初年度に作成した都市圏単位のデータベースを編集しつつ、新たなデータも収集した。これらについて時系列と横断面について記述統計を作成し、経済学的な分析を開始した。具体的には、都市規模の拡大とともに、賃金や物価・地価水準がどのように上昇するか、またどのような空間的な規制性が見いだせるか、そしてどのような理論によって説明がつけうるかについて分析を行った。 さらに、都市集積が果たす経済的役割(社会的便益と費用)を明らかにすることによって、現行の都市規模が社会的にみて過大であるか過小であるかについての分析を試みた。東京などの大都市における過密の弊害、と同時に集積の経済について計量経済的に分析した。中間的な結果は得られたが、第3年度にいくつかの問題をクリアして最終的な結果を得る予定である。 現時点で得られた結果は論文にまとめて、上記の大学において研究発表した。黒田達朗研究分担者を初めとして他の多くの研究者と意見交換することによって、本研究の問題点を点検しいくつかの軌道修正を行ったところである。
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