研究概要 |
本年度は,主として「信用リスク派生証券の価格付け理論」に関して次のような研究を行なっている. 1.連帯保証債権や担保付き債権を複数資産の上に書かれたリスク派生証券であるとして,評価するモデルを構築した。この評価モデルは,Merton(1974)に代表される企業の債務を企業価値の上に書かれた条件付請求権としてとらえるモデルを複数資産に拡張したモデルと,Jarrow and Turnbull(1995)によって提案されているデフォルト時点を外生的なプロセスとして与えるモデルを複数資産に拡張したモデルを導出している. 2.さらに,Jarrow,Land and Turnbull(1994)のデフォルト時点を社債の格付け推移を利用して定式化したモデルにおいて,金利と格付け推移確率との間に相関構造を仮定したモデルを導出している. 3.また、実際のデータからJarrow,Land and Turnbull(1995)における格付け推移確率を求め,金利との関係,実際のクレディットスプレッドの評価などを行った. Jarrow,R.A.,Land and S.Turnbull,"A Markov Model for the Term Structure Models,"Working Paper,Cornell University(1994). Jarrow,R.A.and S.Turnbull,"A Pricing derivatives on Financial Securities Subject to Credit Risk,"The Journal of Finance,Vol.1,53-85(1995). Merton,R.C.,"On The Pricing of Corporate Debt : The Risk Structure of Interest Rate Risk,"The Journal of Finance,Vol.29,449-470(1974).
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