研究概要 |
本研究は企業の社会的責任(以下CSRと略)に関する学説・理論の体系化/総合化を図り、以ってCSRの本質の解明ならびにCSRに関する経済学理論の構築に寄与することを基本的な狙いとするが、本年度は今世紀初頭以降、今日に至るまでの内外のCSR研究を、文献研究によって、また研究者・研究機関との交流・意見交換によって確認・整理することに努めた。 その結果、これらCSR研究の整理・体系化をめぐっては諸研究を、CSR論、企業の社会的反応論、企業の道徳的価値に関する研究という一連の流れとして捉えんとする見方(W.C.Frederik)やCSRの規範理論、CSRの技術論研究、CSRの実証理論研究という雁行する3つの局面として解する見方(森本三男)にはそれなりの意味がある一方、そうしたものを越える見方もありうることを確認するに至った。また、A.MarshallやE.M.Dodd,Jr.らによる古典的論議について眺めるとともにR.T.De georgeの研究をはじめとする、CSRに関する経営倫理学的考察についても検討した。更には、CSRの実証的研究の動向に関し、M.L.Pava & J.Krauzeの研究を手掛りに理解を深めた。 以上の考察結果の一部は、目下執筆中の経営学原理関連の書物の中で平成9年内に公表の予定である。なお、平成9年度は、文献研究及び研究者との意見交換を通じてCSRに関する諸学説・理論に対する認識の深化・拡大を図るとともに、CSRをめぐる諸見解の体系化・総合化のための自分なりの理論フレームワークの構築にとり組みたい。
|