研究概要 |
本研究は企業の社会的責任をめぐる学説・理論の体系化・総合化を図り,以って企業の社会的責任に関する経営学的理論の構築に寄与することを基本的な狙いとする。過去2年間においては、社会的責任関連研究の流れを学説史敵に整理せんと企てるとともに、他方においては、理論を基礎とする技術論として経営学の理論理解しつつ、社会的責任に関する経営理論の展開の形で諸論者の学説・見解の体系化を企ててきた。 本年度は第1に、こうした学説史的考察の角度からの、ならびに経営理論的考察の角度からの学説の体系化を更に進めてきた。とりわけ、後者に関しては、コーポレート・ガバナンス問題に焦点を当てつつ社会的責任問題を考察した。すなわち、コーポレート・ガバナンス問題の展開とガバナンス・システム、コーポレート・ガバナンスの今日的動向とこれらのコーポレート・ガバナンス、自発性とコーポレート・ガバナンス、企業総力における拘束と付与の均衡といった問題を考察するとともに、その効果の骨子を口頭発表(第14回日中企業管理シンポジウム、1998年9月山梨学院大学)、および雑誌論文(「コーポレート・ガバナンスに関する一考察-企業の社会的責任との関連を中心に-」、経済科学、第46巻第4号)で示した。 第2に、これまでの研究結果を経営理論的角度からの学説の体系・総合科の観点を中心にとりまとめを行うとともに、現時点において理解・獲得した知見を研究成果報告書にまとめた。すなわち、社会的責任論の展開、社会的責任と責任動向、企業目的と社会的責任、社会的責任と社会的レスポンス、および社会的責任とコーポレート・ガバナンスの諸項目に集約しつつ、社会的責任問題に関する論者の学説・見解を整理する形で、研究成果報告書をとりまとめた。
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