『企業グループ』の概念に対応するのは、我が国では『系列』あるいは『企業グループ』であるが、ドイツにおいてこれに対応するのは『コンツェルン』を第一として、さらに、銀行を中心とした企業間での結びつきである。まず、ドイツのコンツェルンに関する法体系(コンツェルン法)のありよう、及び歴史的な経緯について、データの収集と、その予備的な考察を試みた。我が国では、ドイツのコンツェルン法に関する研究は思ったより少なく、この機会に、その整備を試みつつある。また、具体的にコンツェルンとみなされているグループ以外にも、前述の通り、資本、人事などの交流という形で形成されているグループについても、検討を試みつつある。データについては、ドイツでのこの分野の代表的なものであるHOPPENSTEDT社のものを参照することができた。その他にも、ドイツ人研究者に依頼して、多数の資料を入手することができた。そして、一方では、それらに対応されるべきわが国の系列に関する規制の法体系についても同様のアプローチを試みた。それらの考察は、まだまだまとめられる状態には至ってはいないが、中間報告的なものを、近々行えれば、と考えている。予想、あるいは計画通り、これらのデータや資料の収集・整理が平成8年度の研究の活動の大半を占めた。また、ドイツ人研究者たちとのコミュニケーションのための通信費・運搬費もかなりにのぼった。資料の渉猟、データの入力など、理論、実証の双方での準備作業の第一段階を終えたところである。
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