研究概要 |
有限体上の超幾何多項式F(a,b,cix)で(a,b,c)をいろいろ動かし、また有限体F_pも素数pを動かして組織的に数値実験を行った。素数pを動かしても規則性を保つ(a,b,c)の組として9つの互いに通約的な非コンパクト数論的三角群に対応する場合が著しい性質を共有していることを見つけた。その性質を述べる:超幾何多項式は素体上一次または二次の既約式に分解されている事実があり、さらに一次の既約式の個数はある種の虚二次体の類数を用いて具体的に記述されることが予想される。これらの超幾何多項式は対応する三角群の包含関係に応ずる数次変換公式で互いに関係している。この証明には一般の超幾何多項式に成り立つ二次変換公式と超特異楕円曲線の理論を利用する。これら9つの数論的三角群は超幾何関数を用いて保型関数、保型形式が具体的に書けることもわかった。その際j関数に対応する特別な関数の存在が重要である。この結果は応用が期待できる。上半平面の有限体上の類似物を、有限体とその二次拡大の組と考え、指標付きのアイゼンシュタイン和を考察した。この特殊値が相対ガウス和と一致するという以外な結果が得られた。2項係数からアペリ-数が得られた方法を、多項係数で試みた。3項、4項の場合にのみ面白い量を取り出すことができ、合同式の予想を得た。金子は有限体上の超特異楕円曲線のj不変量を一斉に持ち上げた有理数体上の多項式を研究した。特にアトキンの直交多項式系を超幾何多項式で具体的に記述した。これらの結果を上の9つの三角群すべてに拡張することは課題として残った。末吉は代数体の指標であるべき剰余記号を調べ、異なる2次体の狭義4階数の間の関係式を得た。吉田はクズネゾフの跡公式を調べた。有限体上では実解析的な関数の類似物も正則なものと等しく重要であることがわかった。
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