研究分担者 |
伊藤 正之 名古屋大学, 情報文化学部, 教授 (60022638)
井原 俊輔 名古屋大学, 情報文化学部, 教授 (00023200)
松原 洋 名古屋大学, 情報文化学部, 助教授 (30242788)
安本 雅洋 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (10144114)
篠田 寿一 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 教授 (30022685)
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研究概要 |
従来の量子化は,Poisson積と交換子積との対応による,正準交換関係の表現として定式化さるが,個数-位相正準対に対しては,適切な交換関係が存在しない。したがって,交換関係の表現と同等なHeisenberg Lie群を無限大比率でスケール拡大した超有限Heisenberg群のユニタリ表現により量子化が達成されるかを調べることは有意義なアプローチである.超有限Heisenberg群のユニタリ表現から得られる位相作用素の性質と物理学的意義を解明するために,本研究では,Hilbert空間の超有限拡大を利用して,単一モードの電磁場の量子化で用いられる量子力学的調和振動子のSchrodinger表現に無限励起状態を付加して得られる量子力学の巨視的拡大を構成した.この巨視的拡大上には,Schrodinger表現に現れるすべての物理量の作用素拡張が可能であり,拡張部分の状態における期待値は,標準的量子状態の期待値の古典力学的的超極限であることが示される.さらに,超準解析学の手法により,Pegg-Barnettの位相作用素と同等の定義でこの空間に内的位相作用素が定義され,その超準殻として巨視的拡大上の位相作用素が得られる.この作用素はPegg-Barnettにより定義された有限次元空間上の近似的位相作用素の極限とみなされる.この位相作用素のスペクトル測度は位相パラメータ推定問題におけるHelstromの最適確率作用素測度のNaimark拡大であることが示された.このようにして,Schrodinger表現の巨視的拡大における自己共役位相作用素によって,Pegg-BarnettとHelstromによる二つのアプローチが統一されることが示された.
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