研究分担者 |
森本 宏 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 教授 (20115645)
松原 洋 名古屋大学, 情報文化学部, 助教授 (30242788)
安本 雅洋 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (10144114)
篠田 寿一 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 教授 (30022685)
井原 俊輔 名古屋大学, 情報文化学部, 教授 (00023200)
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研究概要 |
本研究は,数学基礎論,応用解析学,数理物理学,量子力学などの広い分野にまたがる境界領域の研究である.超有限Heisenberg群の表現論は,超準解析学を統一的観点から系統的に量子物理学に応用するために1992年に小嶋と小澤により定式化されたものであり,その方法論的基礎に関連して,数学基礎論の幅広い研究がなされ,また,それを量子物理学に的確に応用するために,量子力学の基礎に関する研究がなされた.個々の分野での成果は多岐にわたるが,以下の成果は本研究課題にとって基礎および応用上,特に重要である.KelemenとRobinsonは,GlimmとJaffeが構成したφ^4_2モデルを超準解析学の方法で再構成したが,本研究では,正準交換関係(CCR)の表現を構成する彼らの超準解析的方法を超準ユニタリ表現論の枠組によって一般化し,超準解析学の方法を他の場の理論のモデルにも系統的に応用することができるようにした.この構成法により,いくつかの非Segal表現が得られることを示し,とりわけ,Araki-Woods表現が再構成されることを示した.次に,超有限Heisenberg群の表現を利用して,量子化された単一モード電磁場の自己共役な位相作用素を構成した.この方法で得られた位相作用素は,Pegg-Barnettの作用素の無限次元極限とみなされると同時に,そのスペクトル測度はHelstromの発見した最適作用素測度のNaimark拡大であることが示された.この位相作用素を用いる計算は形式的にはPegg-Barnett作用素を用いる計算と同じであり,超準的な意味での無限小の誤差を除いて正しい答えを与えるので,位相の計算の処方箋そのものはむしろ簡単になることが最新の量子光学の教科書で認めるれている.
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