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1997 年度 実績報告書

フラクタル上の確率過程についての研究

研究課題

研究課題/領域番号 08454040
研究機関名古屋大学

研究代表者

熊谷 隆  名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (90234509)

研究分担者 杉浦 誠  名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助手 (70252228)
千代延 大造  名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助手 (50197638)
尾畑 伸明  名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (10169360)
市原 完治  名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (00112293)
キーワードフラクタル / 確率過程 / 自己相似集合 / 熱核 / シェルピンスキーカーペット / ハルナック不等式 / ホモジナイゼーション
研究概要

1。本研究を遂行する中で、有限分岐的フラクタル上の確率過程についての新たな知見が得られた。P.c.f.self-similar setと呼ばれる自己相似性を持った有限分岐的フラクタルの上にレジスタンスメトリックという距離を入れたとき、この上の拡散過程の熱核(基本解)の精密な評価が一般に可能であるという結果である。これまでに、図形に強い対称性がある場合には熱核のアーロンソン型の評価が得られていたが、今回の研究により、一般にはアーロンソン型の評価は成り立たないことがわかり、さらにショーティストパスの挙動との関連が詳しく調べられた。この結果を熊谷は共著の論文にまとめ、J.London Math.Soc.に掲載予定である。
2。インフィニット、ラミファイド(無限分岐的)フラクタルについては、ランダムシェルピンスキーカーペットに於ける拡散過程の熱核の研究を行い、サンプルとなるカーペットごとの熱核の詳しい評価が得られ、ランダムネスに強いエルゴード性の条件が課せられる時には、この評価からさらに確率1で成り立つ評価が導かれることが分かった。図形が高次元の場合、バーロー・バス達によるカップリングの方法を用いることによりハルナック不等式を証明することが議論の一つの鍵となった。この結果を熊谷は共著の論文にまとめ、投稿予定である。
3。ユークリッド空間での現象とのつながり、特にホモジナイゼーションについては、楠岡氏との共同研究以来くりこみ不変な点の安定性が問題になっている。本研究の中で、海外の学会等で関連した研究を行っている研究者達と議論を行い彼等のプレプリントを読むことによりいくつかの新たな手法、視点を得ることが出来たが、それを我々の範疇に適応するには依然いくつかの技術的困難が残っている。これは今後の課題である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 熊谷隆: "Short time asymptotic behavior and large deviations for Brownian motion on some affine nested fractals" Publ.RIMS Kyoto Univ.33. 223-240 (1997)

  • [文献書誌] 熊谷隆: "フラクタル上の確率過程とその周辺" 数学(岩波書店). 49・2. 158-172 (1997)

  • [文献書誌] (B.M.Hambly), 熊谷隆: "Transition density estimates for diffusion processes on p.c.f.self-similar fractals." J.London Math.Soc.(発表予定).

  • [文献書誌] 市原完治: "A Liouville property for difference operators" Japanese J.Math.(発表予定).

  • [文献書誌] 尾畑伸明: "Quantum stochastic differential equations in terms of quantum white noise" Nonlinear Analysis,Theory,Methods and Applications. 30. 279-290 (1997)

  • [文献書誌] 尾畑伸明: "Wick product of white noise operators and quantum stochastic differential equations." J.Math.Soc.Japan. 51(発表予定).

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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