z>0.6での、初期銀河から銀河団空間への重金属放出の過程を調べることが、銀河団進化を調べる上で極めて重要な意味を持つことが分かった。しかし、z>0.6での初期銀河を直接観測することは、現在のX線天文衛星のテクノロジーでは不可能である。そこで、初期銀河のプロトタイプとして考えられているスターバースト銀河のうち近傍のM82を観測している。「あすか」PVフェーズで観測された時のM82と、さらに以前に「ぎんが」衛星を用いて観測したM82では明るさに違いが見られた。そこで、1996年に「あすか」を用いて12回にも及ぶモニター観測を行った。その結果、3keV以下の銀河間空間に重金属を含む高温プラズマを放出しているX線成分については、時間変動が見られなかったにも関わらず、3keV以上では有為な時間変動を検出した。X線光度は3×10^<40>ergs/sec〜1×10^<41>ergs/secの間を10ksec〜月の時間スケールで変動していた。この成分のスペクトルの形は、有為に変化している。変動成分のみを取り出したスペクトルには10^<22>cm^<-2>の強い吸収が見られる。これらよりスターバースト銀河M82にはAGNが存在することが明らかになった。この結果は、1999年3月に東京で行われた"Heating and Accelarationin the Universe"で発表した。またPASJに投稿し間もなくアクセプトされる見込みである。
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