研究概要 |
本研究の目的は,東北大学原子核研究施設に完成する電子線線形加速器および300MeVパルスビームストレッチャー・ブ-スター(STB)による光子・パイ中間子生成反応による原子核スピン・アイソスピン状態の研究である.この実験では,ガンマ線の高分解能標識化と終状態に放出される中性子,ガンマ線を解析することによりこれまで行われてきた(γ,π)反応実験の問題点を克服し新たな知見を得ることが目的である.この実験の準備のため本年度は,実験に使用するパイ中間子測定検出器の製作およびテストを行った.パイ中間子の測定は20レイヤーからなるプラスチックレンジテレスコープで行う.パイ中間子は,検出器内で静止した後崩壊時に放出する荷電粒子の信号をとらえ,パイ中間子事象を区別し,そのエネルギーはレンジおよびパルス波高で決定する.この方法により正・負電荷のパイ中間子を区別し分解能2MeVで測定することができる.このプラスチックレンジテレスコープを用いて平成8年度に引き続き検出器のテストをβ線,宇宙線,35MeV陽子線で行った. 平成9年度の予定は,テスト実験まで行うことであったが加速器建設が遅れたため本年度は検出器オフラインでのテストにとどまった. 平成9年度実績をまとめると, 1.ビームラインおよびリアルガンマ化装置の整備する. 2.パイ中間子レンジ検出器のコンピュータミュミレーションを行い仕様詳細について検討した. 3.検出器の全体についてのテストを行い検出器製作を終了した.
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