研究概要 |
本研究課題では、当初の計画に従ってジェット現象をみせる活動銀河核の観測的研究と、中間硬X線検出器を開発するための基礎実験を行なった。 ジェット天体の観測は、BL Lac天体からのX線スペクトルの変動の研究、電波からガンマ線領域に至る広帯域スペクトルの研究、さらには電波銀河のロープからの逆コンプトンX線の測定によって、大きな広がりをみせている。以下に項目に分けて簡単に示す。 1.BL Lac天体Mkn421のX線スペクトル変動について、論文を投稿、結果を公表した。この結果は、これまでのX線シンクロトロン放射モデルを強く支持するのみならず、ジェットの根本の磁場を定量的に求める有力な手がかり与えるものである。(Takahashi,Tashiro et al.,1996,ApJL470,L89) 2.電波銀河Centaurus Bの観測果を解析、結果を天文学会春季年会(S03a)で報告した。これは第二の電波ローブからの逆コンプトンX線の検出例であり、現在、投塙論文を準備中である。 3.BL Lac天体PKS0735+178の「あすか」衛星による観測を行い、解析結果を天文学会秋季年会(S17a)で報告した。広帯域のエネルギー分布から、輻射場の磁場と電子のエネルギー密度を見積もる試みを提示している。 このほか、中間硬X線検出器の開発について、今年度は、PIN型ダイオード検出器の特性試験、および信号処理システムの開発と、出発点となる「あすか」搭載GISの軌道上較正による特性の研究を行なった。
|