研究課題/領域番号 |
08454058
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大塚 孝治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20201379)
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研究分担者 |
本間 道雄 会津大学, コンピュータ理工学部, 講師 (40264569)
水崎 高浩 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (50251400)
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キーワード | 量子モンテカルロ対角化法 / QMCD法 / 大次元殻模型計算 / ^<56>Niの構造 / Fe同位体の構造 / ^<32>Mgの構造 |
研究概要 |
量子モンテカルロ対角化(QMCD)法に関し、以下に述べるように1.方法論としての改良、2.原子核構造解明への応用、の2つの面で大きな成果が得られた。 1.方法論としての改良 研究対象としている多体系の力学的構造をより的確に反映するように、ヒルベルト空間の基底ベクトルの生成方法を大幅に改良した。最初の基底ベクトルに関しては変形したハートリー・フォック状態のような平均場の最適解を用い、1本の基底ベクトルで最大のエネルギーを得るようにする。これは、決定論的なプロセスを、全体としては確率論的に計算を行うQMCD法に導入する事を意味する。この事と同時に、HS変換で現れる1体ハミルトニアンを書き直して、上記の平均場解のまわりで、量子モンテカルロのサンプリングが行われ、2番目以降の基底ベクトルが生成されるようにする。 ある基底ベクトルがエネルギーを下げるのに十分寄与しているとしても、それはモンテカルロ・サンプリングの必然的な結果として、無用のばらつきを含んでいる。本当の固有解に到達していくためには、このばらつきの成分を打ち消す必要がある。そのために、ある基底ベクトルの候補に対して、そのベクトルの近傍で他のベクトルを試して、無用のばらつきが少ない方に取り替えていく。このようにすると、元々の方法では大きくなってしまうヒルベルト空間を、大幅に縮小する事ができ、基底空間の圧縮と呼ぶ。 3番目にあげるのは、対称性の回復である。モンテカルロ・サンプリングの結果として、生成される基底ベクトルでは本来保存されるべき対称性が破られている。これを射影計算などによって回復する。 2.原子核構造解明への応用 (1)^<56>Niの二重閉殻構造は波動関数の約1/2にしか対応せず大きく壊れている事を示した。 (2)Cr、Fe、Ni、Znなどに関してpf殻での完全バレンス殻計算を初めて行った。 (3)^<32>Mgなどの中性子過剰sd殻核の構造計算を行った。
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