研究概要 |
K中間子原子のX線精密測定は低エネルギー極限でのKN相互作用を知る上で最も基礎的かつ重要な実験である。我々はこの問題を解決すべく独創的な方法による実験を文部省高エネルギー物理学研究所(KEK:現・高エネルギー加速器研究機構)においてK-pのX線精密測定を行い,初めて有為なX線を確認し,負のK中間子と陽子の複素散乱長を決定するのに不可欠なデータを得た。ただし,これのみでは相互作用のアイソスピン依存性を調べることは不可能である。このため,全く新しい実験手法(超低速K中間子及びCCDX線検出装置)を用いてこの領域の物理を解明しつつある。 本年度で、実験装置の冷却・加圧テストが終了し、テストビームによる予備実験が開始された。これによって、本研究に必要とされるエネルギーの決定精度は6keVで2^〜3eVと極めて高いため、検出器の長期安定動作が極めて重要になる。CCDの低温動作点における高精度の温度制御、エネルギーの絶対値の較正、高放射線下での検出信号の安定性のモニターなど、様々な研究開発が終了した。 加速器の立ち上げが、予定より大幅に遅れているため、本実験の開始が遅れているが、解析にはあなり時間を必要としないため、立ち上がり次第、新たな成果を発表できる見通しである。
|