本年度は 1)宇宙線カウンターの据えつけ用フレームの設置作業、宇宙線カウンターの準備 共鳴アンテナトランスデュサーの部の改良、連続運転化。 を行った。 本研究の目的は、東京大学宇宙線研の共鳴型重力波アンテナにおいて、高エネルギー宇宙線が入射した場合の影響を測定および定量的な見積もりを行い、重力波検出のバックグラウンドとしての量を求めることである。 高エネルギーの宇宙線(ミューオン及び特にハドロン)がアンテナ(弾性体振動子)中に入射してエネルギーを落とし、弾性体中に温度分布を引き起こして歪みを作る。弾性体の歪みは最終的には拡散していくのであるが、この際重力波検出装置として測定している弾性体の固有振動モードにエネルギーが分配される。 1)では共鳴アンテナから天頂方向を見込むホドスコープ状に宇宙線カウンター(シンチレーションカウンター)を設置することにし、昨年度末に立体角、宇宙線にたいするアクセプタンスを考慮して配置を決めた。今年度は実際にフレームの設置作業を行い、宇宙線カウンターの上下可動据え付け部の調整などを行い、実際にカウンターを載せる作業を進めている。 2)では本実験では絶対感度だけでなく連続的にアンテナを動かしてacceptancep×時間を必要とするので、高感度化と安定運転のためフイールドバックが施された。その結果レーザー周波数安定化はトランスデューサーのノイズレベルを3×10^<-17>程度に押さえ、感度を改良した。図1に実効温度分布の例を示す。現在の感度では、実行温度は12〜13K程度を達成し、昨年の半分に改良された。また1週間程度は自動制御のみで安定に運転が可能になった。
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