研究概要 |
最高エネルギー領域宇宙線の研究のため、3000km^2の広大な面積に検出器を配置する巨大空気シャワー観測装置を南、北半球に各1ヶ所づつ建設する計画(オージェ計画,代表James Cronin)が国際協力で進められている。この計画では、面積10m^2の水チェレンコフ検出器が使用される。この実験に使用される水チェレンコフ検出器の特性を測定し、検出器の最適化をはかるため、水タンク(直径3.8m,探さ1.2m)を1台製作し、宇宙線研究所附属明野観測所にある「広域空気シャワー観測装置(AGASA)」の東南隅に設置した。水タンクの上面に口径20cm光電子増倍管を3本取りつけ、それぞれの光電子増倍管からの信号波形を4現象ディジタルオッシロスコープで記録し、GPIB/LANリンク、AKENO LANを通じてディスクに記録する。先ず検出器の場所や、入射角度を変えて宇宙線ミューオンを貫通させ、検出器の出力一様性、入射角度依存性などを測定し、シミュレーションによる期待値と比較して、検出器の特性を理解すると同時に、シミュレーションプログラムのチェックを実施した。 平成8年7月末よりAGASAのトリガーにより、データの取得を開始し、空気シャワーの中心から1km以上遠方での検出器の特性測定を行なっている。これまで、10^<18>eV以上のシャワーは約200例得られており、空気シャワー中心から遠方での水チェンレンコフ検出器で得られた信号の横ひろがり分布や、それらの波形から、ミューオンと電磁成分(電子、ガンマ線)の分離方法をシミュレーション結果と比較しながら検討中である。来年度も観測を続行し、空気シャワー中心から遠方でのミューオンと電磁成分の分離解析手法の確立を目指す。
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