研究課題/領域番号 |
08454063
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柴田 徳思 東京大学, 原子核研究所, 教授 (80028224)
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研究分担者 |
静間 清 広島大学, 工学部, 助教授 (10127657)
伊藤 寛 東京大学, 原子核研究所, 助手
野川 憲夫 東京大学, アイソトープ総合センター, 助手 (60208311)
中尾 徳晶 東京大学, 原子核研究所, 助手 (80272524)
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キーワード | 低エネルギーβ線検出器 / 銅の中性子放射化断面積 / 原爆速中性子 / 低バックグラウンド検出器 |
研究概要 |
^<63>Cu(n,p)^<63>Ni反応の断面積測定 東北大学工学部高速中性子実験室において中性子エネルギーEn=1.5MeV〜6.5MeVの範囲にわたり実験を行った。中性子はD(d,n)^3He反応を用いて生成した。ターゲットとして直径60mmで厚さ3mmの銅の球殻を用いた。重陽子のターゲットを球殻の中心に設置し、球殻をビーム軸に対し15゚間隔で0゚〜150゚の間を分けると中性子エネルギーは角度0゚の場合に6.5MeVで角度150゚に対して1.5MeVとなる。このようにして1.5MeV〜6.5MeVの間の10点のエネルギーの中性子に対する照射を行った。照射したターゲットは硫酸で溶かし、電気分解を用いて銅を除き、水酸化ナトリウムを用いて水酸化ニッケルの形で沈殿させる。イオン交換法を用いてニッケルのみを取り出す。この方法により高効率でニッケルのみを化学分離することができた。これまでに試料からニッケルを取り出す作業はほぼ完了し、液体シンチレーション検出器で測定をする予定である。 検出器の開発 ^<63>Niが放出する低エネルギーのベータ線を測定するために、低バックグランドベータ線検出器の開発を行った。最も効率よくさらにバックグランドの低い検出器を製作するために、CaF_2結晶、PINダイオードを用いた2種類の検出器について特性試験を行った。これまでの測定では、検出効率10%、バックグランドの計数率はおよそ2×10^<-3>cpsを得た。効率をさらに上げるために液体シンチレータを用いた検出器の開発を行う予定である。 シンチレーション検出器の場合には光電子増倍管を使用する。通常の光電子増倍管でガラス部分でのチェレンコフ光の発生のためにバックグランドが高くなるので光を通す窓以外は黒い色のガラスを用いた光電子増倍管を製作した。また、バックグランドを低減させるために、無酸素銅による遮蔽体の制作を行った。さらに宇宙線起源のバックグランドを除くための反同時計数用プラスチック検出器の制作を行った。来年度これらを総合的に用いて、低バックグランド検出器を製作する。
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