研究課題/領域番号 |
08454067
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
的場 優 九州大学, 工学研究科, 教授 (60037827)
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研究分担者 |
魚住 裕介 九州大学, 大学院工学研究科, 助教授 (00232801)
納富 昭弘 筑波大学, 陽子線医学利用研究センター, 講師 (80243905)
相良 建至 九州大学, 大学院理学研究科, 助教授 (00128026)
青木 保夫 筑波大学, 物理学系, 助教授 (10110511)
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キーワード | 量子カオス / タンデム加速器 / 深部空孔状態 |
研究概要 |
分離エネルギー領域の中性子の核反応で、原子核の隣接レベル分布が、ランダムな分布から予想されるポアソン型でなく、近隣接部が減少するカオス的様相(ウィグナー型)を示すことが、古くから実験的に示され、理論的にランダム行列理論により説明されている。これが量子カオスの1例とされている。最近、γ線データなどから、基底状態付近では分布はポアソン型に近いことが分かり、8MeVまでの励起エネルギーのどこかで、原子核レベルの統計的性質が変異していることが予想されている。しかし、性質の分かったサンプル集団で、この変異を確かめた実験例はなかった。 本研究では九州大学及び筑波大学のタンデム加速器からの偏極ビームを使用して、主として(p,d)反応などの精密測定を行った。加速器粒子のエネルギーは20MeVであり、(p,d)反応のQ値が-5〜8MeVであるので、測定励起エネルギー領域は0〜8MeVである。これにより励起エネルギー8MeVまでの深部空孔状態の殻軌道ごとの隣接レベル分布を決定した。九州大学タンデム加速器では、半導体テレスコープにより中分解能の測定を行い、データのフーリエ解析や自己相関解析などの統計処理により連続スペクトルの中でのポアソン・カオス成分を識別し、両分布の変異を探索した。また、筑波大学のタンデム加速器では、高分解能スペクトログラフESP-90を使用して、高分解能測定により、分離レベルについて詳細なデータを収集した。これらの結果、ポアソンとカオス成分の分離が原子核の励起エネルギー4〜5MeV近辺で起こっているとの徴候を見出した。 以上の成果は、学会等に報告し、また一部は論文として公表している。
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