研究概要 |
クーロン分解反応^<208>Pb(^8B,^7Bep)^<208>Pb,^<208>Pb(^<12>N,^<11>Cp)^<208>Pb,^<208>Pb(^9C,^8Bp)^<208>Pbの実験を行った。反応測定の目的は、天体における核燃焼過程を構成する放射性捕獲反応^7Be(P、γ)^8B、^<11>C(P,γ)^<12>N、^8B(P,γ)^9Cの断面積を決定することにある。最初の反応は、高エネルギーの太陽ニュートリノを生成し、残りの2つの反応はhot pp chainと呼ばれる高温高圧下の水素燃焼過程の鍵をにぎるるものである。このクーロン分解による方法では、クーロン力による一段階E1遷移を仮定して解析し、分解断面積を捕獲反応断面積に変換する。従って、この仮定がどのくらいよく成り立つかを調べることは、クーロン分解法の信頼度の確立につながる。本研究では、分解反応からの放出粒子の角度相関が干渉効果によってE1遷移以外の成分、特にE2成分、核力による成分によって敏感であることに注目した。 実験は理化学研究所のリングサイクロトロンを用い、核子あたり135MeVの一次粒子(C^<12>またはN^<14>)から入射核破砕反応によりB^8,N^<12>、C^9の二次ビームを生成した。鉛標的による反応生成物は、3〜5m程度離れたところに置かれたプラスチックシンチレータによるム△E-Eホドスコープによって同時計測された。従来の実験で問題となっていた標的・検出器間の領域の空気を排除する装置を建設し、バックグラウンドの低減をはかった結果、相対エネルギー0.5MeV以上では事実上バックグラウンドの影響を受けない測定に成功した。このことにより、はじめて角度相関のデータをとることができた。E2成分や核力成分と成分の干渉の効果によると思われる非対称性が方位角・極角双方について観測され、反応機構の詳細についての知見が得られることが期待される。
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