研究課題/領域番号 |
08454070
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
鳥居 祥二 神奈川大学, 工学部, 助教授 (90167536)
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研究分担者 |
山上 隆正 文部省, 宇宙科学研究所, 助教授 (40013718)
吉田 賢二 神奈川大学, 工学部, 助手 (90260984)
田村 忠久 神奈川大学, 工学部, 助手 (90271361)
笠原 克昌 神奈川大学, 工学部, 助教授 (00013425)
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キーワード | ガンマ線 / 高エネルギー / シンチファイバー / 気球 / パルサー / 活動銀河核 / マルチアノードホトマル / CsI |
研究概要 |
将来の衛星観測の準備研究として、気球搭載用ガンマ線観測の開発を行なっている。GeV領域のガンマ線観測では、ハドロン及び電子の雑音を除くため電子対創成の検出が不可欠である。従来の装置ではスパークチェンバーによる検出が行なわれたが、この研究では、シンチファイバーを多アノードホトマルで読みだす方法により検出する装置の開発をおこなっている。この方法の利点は、1)装置がコンパクトになり大きな立体角がえられる、2)ガスを利用しないのでスペースでの観測に適している、3)死時間がほとんどない、等があげられる。この結果、現在のEGRETに比べてほぼ同じ重量で、約1桁大きな観測装置の製作が可能であることが、シミュレーションから示唆されている。 今年度は、電子対創成を検出する飛跡検出部の基礎開発とシミュレーションによる観測性能の評価を行なった。飛跡検出部の各層は、2mm角のシンチファイバー16本を16アノードのコンパクト型ホトマル(Hamatsu H6568-01)に接続したセットを8個並べた256mm幅のベルトで構成されている。x、y方向の読みだしによる二次元的測定を行なうため、各層ごとに互いに直角方向に上記のベルトを設置する。最終的にはこのような層を0.1r.l厚の鉛板と組み合わせたものを、互いに5cmのスペースをつけて11層製作して飛跡検出部を完成する予定であるが、今年度はその一層分のみを製作した。そして原子核研究所のESの電子ビームにより最小電離損失の粒子に対するゲインをしらべた。その結果、シングルに対するピークはペデスタル(25カウント)の約4倍(100カウント)ありアンプなしでも充分に電子対創成の検出が可能であることが判明した。さらにシンチファイバー中のenergy depositionの測定が可能であるので、カロリメータとしての機能も持つことができ、20〜100MeVまでのガンマ線のエネルギー測定が可能である。 今後、別途製作した5×5にセグメント化したCsIカロリメータ(8r.l厚)との組合せで、100MeV以上のエネルギーを測定することにより、数GeVまでの気球によるガンマ線観測が可能な装置を製作する予定である。
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