研究課題
基盤研究(B)
素粒子物理学の最重要課題の一つである「ニュートリノ振動」を実験的に解明するために、高エネルギー陽子加速器とそこから250km離れた神岡の大型水チェレンコフ検出器とを、"地球規模"のニュートリノビームラインにより結び付けた長基線ニュートリノ振動実験計画が提案されている。本研究の目的は、実験計画の中のニュートリノビームラインに関してニュートリノの生成標的から数百km離れた大型検出器にむけてニュートリノを効率良く輸送するために、ニュートリノ生成標的側でのビームの検出器を設計し、その検出器によるビームの制御システムを開発することである。本年度は、ビームラインと神岡の大型水チェレンコフ検出器“スーパーカミオカンデ"の現地調査、および、発生装置側の高エネルギー研究所内でニュートリノビームを間接的にモニターする目的を持った検出器に関する検討と設計及び試作を行なった。陽子ビームの強度や形を検知し制御するための各種検出器[電流変換器、セカンダリ-エミションチェンバー等]や、π中間子、μ粒子の強度の検出器[チェレンコフイメージ、位置感知型イオンチェンパー等]を、一次陽子ビームと二次粒子を効率良く制御することを主眼においた設計を行なった。設計は概ね終了し、その幾つかについては試作品を製作しテストを行なった。特に、位置感知型イオンチェンバーは良好な結果を得た。