研究課題/領域番号 |
08454072
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
須藤 彰三 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40171277)
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研究分担者 |
坂本 一之 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70261542)
内田 和喜男 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50005790)
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キーワード | カーボン60(C60) / シリコン・カ-バイド(SiC) / 電子エネルギー損失分光(HREELS) / 走査トンネル顕微鏡(STM) / Si(111)-(7x7) / Si(100)-(2x1) / 表面電子状態 / 電荷移動 |
研究概要 |
(a)昨年度に引き続き、C60のSi(111)-(7x7)、Si(100)-(2x1)表面での結合状態・反応性・初期吸着過程を統一的に理解するために、高分解能電子エネルギー損失分光法(HREELS)と走査トンネル顕微鏡(STM)との複合測定装置(HREELS-STM)を用い、振動モードの測定およびそれに対応する吸着構造の観察を行った。STMによるいくつかの報告が既にあるが、それに我々のSTM観察を加えてHREELSの測定結果と総合して考えると次の結論が得られた。(1)Si(111)7X7表面では、0.25分子層以下の被覆率において、強い化学吸着を行う。電荷移動のモデルで解析するとC60は1分子あたり(3±1)個の電子をダングリング・ボンドから供給されている。(2)1分子層の被覆率において、約23%のC60は強い相互作用(化学吸着)を示す。そのC60分子間をファン・デル・ワールスカで物理吸着したC60が規則配列する。これが、STMで観測される局所的な規則配列構造に対応するものと考えられる。(3)Si(100)2x1表面では、C60は主にファン・デル・ワールスカにより吸着する。 ここでは、実験結果の解析に電荷移動のモデルを用いた。次の課題として、(1)電子状態(LUMO)の観察、(2)化学吸着における波動関数の重なり、つまり、共有結合性の理解がある。 (b)上記、次の課題を解明するために、高エネルギー加速器研究機構フォトンファクトリー施設を用いて、上記吸着系の光電子スペクトルを測定した。その結果、荷電子帯スペクトル0.24eVにC60とSi(111)7x7表面の結合軌道を観測することができた。現在、分子軌道法を用いて結合軌道の詳細を解析中である。 (c)さらに、上記系を加熱することにより、良質のシリコン・カ-バイド(SiC)膜が形成されることが明らかになった。
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