巨視的な変数空間でのトンネル効果(MQT)は宇宙論から超伝導現象、原子分子の運動の有り様など、物理学の多くの分野に遍在する興味深い現象であり、最近多彩な研究が始められている。この研究は強磁気コバルト微粒子の極低温における磁化の緩和をNMRを用いて測定することによって、巨視的な数のスピンが一斉に異方性ポテンシャルをトンネルするMQTを観測しようとするものである。十分な信号を得るだけの量のコバルトの微粒子(直径約6nm)を真空中の島状常着法で作成する方法を確立し、また200MHz帯のスピンエコー方式のNMRスペクトロメーターを作成した。1Kから4Kの温度での測定によれば、0.2Tの外部磁場で整列させた後、0磁場に戻すとき、磁化は約5msecの緩和時間で熱平衡値に緩和することが見られた。現在、測定温度を0.3Kまで下げるべく、クライオスタットの整備中である。研究の進捗が遅れ気味であるため、成果報告書は1年以内に確定的成果を得た上で作成したい。
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