研究課題/領域番号 |
08454094
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
鈴木 治彦 金沢大学, 理学部, 教授 (50004370)
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研究分担者 |
阿部 聡 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (60251914)
樋渡 保秋 金沢大学, 理学部, 教授 (20019491)
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キーワード | 超低温 / 核磁性 / NMR / スピン-格子緩和時間 / SQUID / 核断熱消磁冷却 |
研究概要 |
1)Sc金属のスピン構造および転移温度の決定のために、主たる核スピン相互作用であるRK相互作用の大きさを求めるためにスピン-格子緩和時間T_1の測定を行った。Sc金属は核スピンの大きさI=7/2で結晶構造がhcp構造なので核の電気四重極相互作用がきいて核スピンのレベルが4つの二重に縮退したレベルに分裂するために緩和時間の測定が大変難しい。その為にこれまで報告されている結果は色々な値が有った。我々は測定方法を確立した。単に単結晶を用いた測定に成功しc軸方向でT_1T=1.20sec・K,a軸方向で1.0sec・Kという値を得た。今後温度変化磁場変化の測定を行っていく。特にこれまでコ-ネル大学で100muk温度という低温でゼロ磁場での測定、NQRの測定から報告されているT_1T=90m sec・Kという小さな値が本質的なデーターなのかどうかを調べる。もし何か磁気的不純物によるもので有れば小さな磁場による磁場効果が効いてくるので、まず非常に小さな磁場での測定を行う。 2)一方磁化の測定からスピン構造を決定するために、金沢大学でもmuKまで冷却できる核断熱消磁冷却装置を整備し、その温度でのSQUIDによる磁化測定を可能にすることを目的として研究を開始した。その結果現在では銅の一段の核断熱消磁冷却により約200muKまで冷却できるようになり、CeRu_2Si_2の磁化の温度変化をSQUIDで測定した。この物質は測定した約300mKまで非磁性のままという大変興味有る結果を得た。 今後二段核断熱消磁冷却を行いSc試料を核磁気秩序転移温度以下まで冷却し、磁化の異方性測定からスピン構造を決定したい。
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