研究課題/領域番号 |
08454096
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
志賀 正幸 京都大学, 工学研究科, 教授 (30026025)
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研究分担者 |
中村 裕之 京都大学, 工学研究科, 助手 (00202218)
和田 裕文 京都大学, 工学研究科, 助教授 (80191831)
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キーワード | 価数揺動 / 近藤格子 / 磁気体積効果 / 磁歪 / 3端子容量法 |
研究概要 |
1.高感度磁歪測定装置の作成 Oxford社製超伝導磁石を購入し高感度磁歪測定装置を作成した。磁場は4.2Kにおいて8Tまで発生出来る。温度は安定度±0.1Kで1.6Kから200Kまで可変出来る。磁場に平行及び垂直方向の磁歪が測定出来るよう容量セルを作成した。3端子法により高感度の容量変化を検知するため、既存の容量ブリッジ、ロックイン増幅器を使用し10^<-7>の長さ変化が測定可能となった。 2.YInCu_4の磁歪の測定 YInCu_4は重い電子系化合物であるが、T_v=50K付近で、約0.1の価数変化を伴う1次転移を起こしT>T_vではYb^<3+>局在モーメント系となる。この化合物の磁歪を10Kから200Kまで測定した。その結果、(1)T>Tvでは、磁場の2乗に比例する負の磁歪を観測した。比例定数は帯磁率の2乗に比例する。また磁歪は異方的であり、横方向磁歪が縦方向の約2倍であった。これらの結果は、局在モーメントモデルで理解可能である。(2)T〜T_vでは、ヒステリシスを伴う、ほぼ等方的な巨大な磁歪を観測した。これは、磁場により価数転移が誘起されたものとして理解できる。(3)T<T_vでは、低磁場では体積変化を伴わない異方的磁歪が観測され、ある臨界磁場より上で、体積磁歪が発生することがわかった。この臨界磁場は温度の上昇とともに低下し、T_vの直下でほぼ0となる。これはフェルミ液体状態の磁歪の観測として新しい結果であり、今後近藤状態形成のメカニズムと関連し興味深い。
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