研究概要 |
1.YInCu_4,YAgCu_4,YAuCu_4の磁歪の測定 昨年度に引き続きYInCU_4の磁歪を測定するとともに典型的な近藤格子化合物AgInCu4 及び典型的な局在モーメント系化合物YAuCu_4の磁歪を測定した。この過程で、昨年度の測定で見られた、低温における異常な振る舞いは測定上に問題があったことを見いだし、YbInCu_4については全て測定をやり直した。その結果、全ての試料について、体積磁歪、異方性磁歪とも磁場の2乗に比例することがわかった。そのう内、体積磁歪は全ての負の値を示すが、その大きさは、局在モーメントレジームと近藤レジームあるいは価数揺動レジームで大きく異なることがわかった。dV/V=C・(χ H)^2として、結合定数Cを評価すると、近藤領域であるYbInCu_4およびYbAgCu_4の低温部ではC〜10^<-3>(μ B^<-2>),局在モーメントレジームにあると考えられる、YbAuCu_4の全温度領域、YbInCu_4およびYbAgCu_4の高温領域ではC<10^<-4>と1桁以上小さいことを見いだした。 2.EuNi_2(Si_<1-x>Ge_x)_2の磁歪の測定 東京大学物性研究所高磁場施設を利用してEuNi_2(Si_<1-x>Ge_x)_2の磁歪を最高磁場40Tまで測定した。その結果、メタ磁性転移を起こすx=0.82試料を除き、体積磁歪は磁化Mの2乗に比例し変化するがその符号は正である。結合定数は局在モーメント反強磁性体領域(x>0.85)では C〜10^<-5>,価数揺動領域(x<0.8)ではC〜10^<-3>、YbXCu_4系とほぼ同じ値をとるという興味深い結果を得た。 以上の結果を総合することにより、一見全く異なったメカニズムにより生じていると考えられている2つの系の価数転移や近藤状態の形成が磁気体積効果を通して見ることにより、共通の因子に支配されていることが示唆され、今後理論的な裏付けが期待される。
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