IIa族元素とC_<70>薄膜をその相対膜厚比を制御して積層させ、熱処理によってC_<70>へのIIa族元素ド-ピング化合物M_xC_<70>の作製を試み、金属相・超伝導相の出現を電気抵抗測定によって探索した。非ドープC_<70>薄膜の高抵抗値からドープC_<70>薄膜に期待される金属相の低抵抗値まで連続的に測定する為に、絶縁抵抗計/エレクトロメーターを購入し、既存の低抵抗用電気伝導度測定装置に組み込んだ。ゲートバルブ、R/L導入器からなる試料移送用小型真空容器を設計・購入し、試料を大気に曝すことなく各種装置間で移送可能にし、製膜から反応、物性測定までを行えるようにした。これらを用いて行ったC_<70>薄膜へのカリウムドープについては、電気抵抗のドープ時間依存性の測定からx=1、3、4の相に対応する抵抗極小を検出し、それぞれの相での電気抵抗の温度依存性を測定することに成功した。結果X=3、4の相は、室温の抵抗値がそれぞれ10^<-2>Ωcm、10^<-3>Ωcmとなり、金属相であることが示唆された。IIa族元素については、ド-ピング元素としてカルシウムを選んだ。Ca_5C_<60>が超伝導体であることからCa_5C_<70>を作製することにし、この割合でCaとC_<70>の積層膜をガラス基盤上に作製した。200℃で熱処理した結果抵抗率が元のC_<70>薄膜に比べて約7桁小さくなることを見出したが、温度依存性測定の結果は温度下降とともに抵抗値は大きくなり、エネルギーギャップは0.18eVと元のC_<70>薄膜と比べて1桁小さくなっているものの、半導体相であることがわかった。現在x=5以外の組成比についての実験を継続中である。また関連する内容としては、C_<70> (ICI) _x化合物を作製し、磁化率から金属相ではないと結論した。またK_3C_<70>においてTc=0.5K以下で超伝導によるものと思われる大きな反磁性磁化率を見出した。現在これらの結果を論文に執筆中である。
|