研究概要 |
東アフリカ地溝帯に位置するニイラゴンゴ火山は,その火口に永続的な溶岩の湖(溶岩湖)が存在し,湖面がある一定の高度になると山体に割れ目が走り,火口に溜まっていた高温の溶岩が一気に流出するという特異な噴火形態の火山活動をする.溶岩湖は力学的に安定した火道を通じて地下のマグマ溜まりに通じておりマグマ供給系の計測に都合のより火山活動である.本年度の研究成果の概要をまとめると次のように; 1.1994年がら始まった溶岩湖活動に伴う湖面高度変遷を写真映像の解析と測量データを併合して求めた.1996年10月までの約2年間に湖面は111m上昇した.平均上昇速度は28cm/日,平均溶岩供給量は2.2X10^5m^3/日と推定された.この値は1982年の約1/2である. 2.上記の解析を加味して1950年から1996年10月までの溶岩湖湖面の変遷史を作成した.現在の湖面は第1テラスと第2テラスの中間に位置する. 3.1994年6月から1995年までの溶岩湖活動のエピソードと火山性微動の出現の間の相関関係を明らかにした.溶岩湖面で噴泉活動が開始すると微動が出現しその後指数関数的に振幅は減少する. 4.溶岩湖からの割れ目噴火に伴う溶岩流分布を衛星データの画像解析から推定した.過去に何度も割れ目噴火が起き,主にニイラゴンゴ火山の南西〜南東域に流下した事が判明した.最も最近の割れ目噴火(1972年1月7日)の溶岩流も20年余の時間の経過と共に植生に覆われ分布域が不鮮明になり始めた.
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