本研究計画の弟1年度、1996年度は、各諸島に大学や国土地理院のGPS連続観測点が処置され、フィリピン海プレート収束運動に関する第一近似的な結果が既に解明されており、主にプレート運動と分離すべき伊豆諸島各島内におけるローカルな地殻変動変動を解明する目的で、各島におけるGPS観測網の整備に重点を置いた. その結果、伊豆諸島でも活発な地殻・地震活動が観測される神津島、駿河トラフに接近する銭州岩礁、7年後に噴火活動が観測される三宅島、プレート収束運動を解明する上で重要な八丈島において、それぞれGPS観測網を設置・拡充し、観測を実施した.神津島では西岸に既存の観測点を含め4点で、銭州岩礁では昨年度に引き続くGPS観測を実施した.三宅島では火山噴火予知研究事業と連係し、18点からなる稠密観測網でGPS観測を1995年度に継続して実施した.また、八丈島では20点のGPS観測を東京都の協力のもとに実施した。また、青が島、八丈島、御蔵島、神津島ではGPS連続観測を継続した. これらの観測から、以下のことが明確になった. 1.三宅島における1995/9-1996/9に観測された地殻変動は、南部で2cmの膨張、北部で停滞している.この結果は同島おける1994-1995年の水準測量成果と一致する.しかし、観測された変動は複雑で均一な弾性体での点力源モデルに十分に説明できない. 2.銭州岩礁では1995年以降に静岡に対して北西方向へ2cmの水平変動が観測された.八丈島における水平変動ベクトルとほぼ等しく、八丈-銭州岩礁間ではプレート運動が収束していないことが明確になった.
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